飲み方注意! ロンサーフ®の正しい服用方法
病院で処方される薬は、痛い時だけ飲むというような頓用の薬でない限り、毎日服用することが多いのですが、週に1回とか、2週間飲んで1週間休むというような変則的な飲み方をするものがあります。
そういった飲み方が特殊な薬の一つにロンサーフ®という薬があります。
今回はこのロンサーフ®という薬について簡単にまとめてみましょう。
【ロンサーフ®配合錠】
参考:ロンサーフ配合錠の添付文書
成分:
トリフルリジン、チピラシル塩酸塩
効能・効果:
治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
用法・用量:
1回量
⇒ 体表面積に応じた量 (トリフルリジンとして35mg/m2/回)
服用タイミング
⇒ 1日2回 朝夕食後
服用日
⇒ 5日間服用、2日間休薬、5日間服用、2日間休薬、さらに14日間休薬
この28日間を1クールとして繰り返し
服用日は複雑ですので、医師や薬剤師の指示をしっかり確認するようにしましょう。いつが服用する日なのか、いつが服用しない日なのか、しっかり把握しましょう。
服用日も特徴的ですが、この薬は空腹時も避けて飲む必要があります。空腹時に服用すると主成分であるトリフルリジンの血中濃度が上がり、副作用が強く出るという報告があるためです。飲み忘れた場合は、飲み忘れた分を服用せず、次の分から食後に服用してください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
作用機序:
トリフルリジンはがん細胞がDNAを複製する際に、チミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれます。トリフルリジンが取り込まれたDNA鎖は機能障害をきたします。その結果、がん細胞の細胞増殖抑制や細胞死につながります。
実は明確な作用機序はまだ証明されておらず、現状ではこのような作用機序であるとの推察がされています。
ロンサーフに配合されているチピラシル塩酸塩はトリフルリジンの分解を阻害するはたらきがあります。チピラシル塩酸塩によって、トリフルリジンの血中濃度を高く維持することができます。
副作用:
トリフルリジンはがん細胞だけでなく、細胞分裂が活発な骨髄等にも取り込まれます。その結果、副作用として出現することがあります。
代表的な副作用について記載します。
・骨髄抑制:
骨髄のはたらきが抑制され、白血球や赤血球、血小板などが低下します。
特に白血球が低下することで、免疫力が低下し、敗血症等の重篤な感染症により死に至る可能性もあります。発熱等の症状を自覚した時はすぐに病院に連絡するようにしましょう。
・間質性肺炎:
頻度は高くありませんが、薬が原因で肺炎を生じることがあります。最悪の場合、死に至る可能性のある副作用です。
発熱、咳、息切れ、呼吸困難などの症状が出た場合はすぐに病院に連絡してください。
・下痢:
下痢症状が強くなると、脱水や電解質異常に至ることがあります。水分をしっかりとることが大切です。下痢止めを使うこともあります。脱水症状等が強い場合には補液を点滴することもあります。
・悪心嘔吐:
吐き気止めを使用することができます。吐き気や嘔吐があった場合には主治医に先生に伝えるようにしましょう。
さいごに
ロンサーフ®は抗がん剤という薬の一つで、かなり特殊な用法用量の薬です。また、副作用の出現状況をみながら服用量や服用日を調節されることもあります。
副作用をきちんと伝えることが大切です。
製薬メーカーが準備している服薬カレンダーなどを活用してもよいでしょう。たいていの場合、処方された医療機関で貰うことができます。
また、服用日については医師や薬剤師の指示を必ず確認しましょう。わからない時や不安な点がある時は遠慮せずに理解できるまで聞いてくださいね。