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妊婦が【みずぼうそう】に感染したら胎児に影響するって本当!?

水痘(すいとう)」というと聞き慣れないかもしれませんが、「みずぼうそう」というと聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「水痘」はいわゆる「みずぼうそう」のことです。

 

「妊娠中に、みずぼうそうにかかるのは良くない」という話を聞いたことはありませんか?

実は妊娠中の女性が初めてみずぼうそうに感染すると胎児に影響があるといわれています。

 

今回は、水痘について詳しくまとめてみたいと思います。

 

 

 

水痘(すいとう)とは

 

「水痘」とはいわゆる「みずぼうそう」のことです。水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる感染症です。

 

水痘帯状疱疹ウイルスの自然宿主はヒトのみであると言われていますが、世界中に分布しているウイルスです。

 

発疹性の感染症ですが、発疹が出現する前から発熱を認め、発疹は紅斑(赤くなること)が広がり、水疱膿疱(粘性の高い液体が含まれる水疱)を経てかさぶたになり治癒するという流れが一般的です。

 

主に小児の病気であり、9歳以下での発症が90%以上であると言われています。

 

一度でも感染歴のある人には免疫ができますし、現在は子どものうちにワクチンの定期接種が行われています。

 

そのため、大人になってから感染することは極めて稀であると言われています。とはいえ、成人でも稀に水痘を発症することもあり、成人が発症した場合は重症化するリスクが高いとも言われます。

 

 

感染経路

空気感染、飛沫感染接触感染で感染します。家族内に一人でも感染者がいると全員に感染してもおかしくない感染症です。

特に感染力が強いといわれる時期は発疹出現の1~2日前から発疹出現当日です。

 

潜伏期間は約2週間

潜伏期間は約2週間程度(10~21日)ですが、免疫不全の患者さんなどでは多少長くなることもあります。

 

症状

発疹を主症状とする感染症です。

発熱からの発疹という流れが典型的で、水疱を認めることが特徴的です。

紅斑 → 水疱 → 膿疱(粘性の高い液体が含まれる水疱) → かさぶた → 治癒

上記の経過をたどることが典型的であるとされています。

 

妊婦が感染するとどうなるのか

結論からいうと、妊婦がみずぼうそうになると母子ともに危険です。

 

母体は大人になってからの感染のため、もともと重症化するリスクが高いのです。

 

さらに胎児に対しても、先天性水痘症候群と呼ばれる様々な障害を引き起こす可能性があると言われています。先天性水痘症候群の症状には、例えば皮膚瘢痕や、手足の低形成(短く生まれてくる)、眼症状白内障、小眼球症など)、神経障害などがあります。

 

特に妊娠中期にはそのリスクが高いといわれ、約1.4%程度で先天性水痘症候群を発症すると言われています。一方で、妊娠初期のリスクは中期に比べると低く、さらに妊娠後期ではほとんど発症することはないと報告されています。

 

しかし、分娩時に水痘に罹患している場合は、赤ちゃんが産道を通るときに感染してしまい「新生児水痘」を引き起こすことがあります。

 

新生児水痘の死亡率はかなり高く、分娩前に妊婦がみずぼうそうにかかってしまった際には、子宮収縮抑制剤などを用いて出産を遅らせることもあります。

 

臨月に夫や家族、そのほか身近な人がみずぼうそうや帯状疱疹と疑われる症状を発症した場合には、決して近づかないようにしてください。

 

みずぼうそうの予防

一般的にはワクチンが推奨されますが、妊娠中に水痘ワクチンは接種できません。もし可能であるならば、妊娠前に水痘ワクチンの接種を検討しましょう。

ワクチンを接種できなかったからといって、感染予防法がないわけではありません。

一般的な感染症と同じく、手洗いとうがい、マスクが感染予防の基本です。また、感染者との接触を控えることも重要です。特にお子さんが近くにいる場合は、感染している可能性が比較的高いということも覚えておきましょう。

 

もしも妊娠中にみずぼうそうにかかったら

水痘に対しては、予防的に接種するワクチン、水痘を発症した場合に症状の軽減に用いるアシクロビルが基本的に用いられる薬です。ただし、妊娠中にはワクチンの接種はできません。

妊婦の場合、発症の可能性の高い場合の発症予防と症状軽減、および先天性水痘症候群の予防に用いるグロブリンなどがあります。

 

 

最後に

妊娠中にかかると怖いと言われる水痘、いわゆる「みずぼうそう」についてまとめてみました。

現在では多くの人が子どもの時に水痘ワクチンの定期接種を受けており、水痘にかかるリスクは低くなってきています。そのため、多くの妊婦さんにとって、大きな問題ではないかもしれませんが、あなたが大丈夫でも周りの妊婦さんが必ず抗体を持っているとも限りません。

自分の子どもがみずぼうそうにかかっている時などには、自分自身も含めて家族みんなが周りの妊婦さんに接触しないように心がけることも大切です。

 

もちろん、妊婦さんお一人での感染予防には限界があります。一人で抱え込まず、周りの人と協力しながら感染対策を行うことが重要です。不安がある場合は、医師や薬剤師にも相談してみてくださいね!