胎児への感染は必ず予防を! 梅毒感染がわかった時には迷わず治療
梅毒とは、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌に感染することによって引き起こされる感染症です。
主な感染経路は性交渉とされていますが、感染者の体液や血液が皮膚の傷口や粘膜に触れることで感染することもありえます。
梅毒は2018年に梅毒診療ガイドが策定され、治療法は概ね確立していると言われています。また、耐性菌の報告も多くありません。
しかし、未だに世界各国で発生数は減少していません。
アメリカではペニシリン系の注射薬の筋注投与を1回行うという治療法が推奨されていますが、日本ではペニシリンの筋注製剤は販売されていません。過去にペニシリンショックによる死亡例が報告されているためです。
そのため、日本における梅毒の治療は内服治療が基本となります。
【第一選択薬】
●アモキシシリン 1回500mg 1日2回 4週間服用
ペニシリンにアレルギーがある場合など特別な場合に限り、第二選択薬・第三選択薬を選択できる
【第二選択薬】
●ミノサイクリン 1回100mg 1日2回 4週間服用
※梅毒への使用は保険適応外
【第三選択薬】
●スピラマイシン 1回200mg 1日6回 4週間服用
妊娠初期(妊娠4ヶ月まで)に行う妊娠検診で梅毒のスクリーニングも実施されます。
自覚症状がなくても梅毒への感染が認められる場合があり、その場合は胎内感染を防ぐために治療が開始されることがあります。
治療法は妊娠時も非妊娠時も同じではありますが、ミノサイクリンの使用は一般的には避けるべきです。
梅毒は胎児への感染を予防できる感染症の一つです。梅毒にかかっていても症状がなく、妊娠と同時に梅毒感染がわかるケースも少なくありません。
妊婦健診を必ず受け、必要な場合に必要な治療をきちんと受けれるようにしましょう。
参考:梅毒診療ガイド