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しゃっくりに効く薬 ~現役薬剤師のひとりごと~

吃逆(きつぎゃく)、すなわち、しゃっくりは誰もが経験したことがあるものではないでしょうか。

しゃっくりは横隔膜の痙攣であるということも聞いたことがある人もいるでしょう。

多くの場合、しゃっくりが出たからといって心配する必要はありません。薬も必要ありません。


しかし、世の中には病気が原因であるしゃっくりなど、薬を必要とする場合があります。

今回は、しゃっくりに使用される治療薬についてまとめてみましょう。

クロルプロマジンコントミン®、ウインタミン®)

 漢方薬を除いて唯一保険適応のある薬です。統合失調症うつ病などに対しても効果のある薬ですから、病院や薬局でもらう薬情(お薬の説明書)にはそのような文言が含まれている場合があります。催眠作用(眠気)の強い薬です。

 ○処方例 コントミン錠12.5mg 1錠 発作時(吃逆時)
      コントミン錠12.5mg 1回1錠 1日3回

茱萸(ごしゅゆとう)

 胃腸関連の症状に対して使用される漢方薬です。呉茱萸湯は複数の製薬気社から発売されていますが、今のところコタローの呉茱萸湯にはしゃっくりに適応があります。

 ○処方例 呉茱萸湯2.5g 1包 発作時(吃逆時)
      呉茱萸湯2.5g 1回1包 1日3回

メトクロプラミドプリンペラン®)

 吐き気止めとしてよく使用される薬です。しゃっくりに対して保険適応はありません。上記のクロルプロマジンとの併用は避けた方がよいでしょう。

 ○処方例 プリンペラン錠5mg 1錠 発作時(吃逆時)
      プリンペラン錠5mg 1回1錠 1日3回

クロナゼパムリボトリール®、ランドセン®)

 てんかんや痙攣に使用されることが多い薬です。しゃっくりに対して保険適応はありません。常用すると眠くなることがあります。

 ○処方例  リボトリール錠0.5mg 1錠 発作時(吃逆時)

してい湯(柿のへた煎)

 病院や医療機関では院内製剤として調製してくるところもあります。市販薬としても発売されており、処方箋なしで購入することが可能です。重篤な副作用は報告されていません。ただし、漢方薬の一種ですので味には好き嫌いがあるでしょう。

 ○処方例  柿のへた 1回10g 発作時(吃逆時)
       柿のへた 1回10g 1日3回

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

 筋肉の痙攣などによく使用される漢方薬です。横隔膜の痙攣も筋肉の痙攣ですから、適応があると判断することも可能ですが、実際にはしゃっくりに適応はないと言われています。

 ○処方例 芍薬甘草等2.5g 1包 発作時(吃逆時)

その他、様々な薬がしゃっくりに対して使用されたという報告があります。今回、飲み薬を中心にまとめましたが、唯一適応があると紹介したコントミン®は注射薬もあります。他に、抗てんかん薬や抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)、あるいは筋弛緩作用のある薬剤などが使用されることがあります。


多くのしゃっくりは薬を必要とせず、自然に止まります。しかし、長引く場合、もしかすると何かの病気が原因の可能性もあります。今回、しゃっくりに効く薬をまとめてみましたが、いずれも「しゃっくり」という症状を緩和するものであり、原因の病気の治すものではありません。市販で買える漢方薬もありますが、長引くしゃっくりの原因がわからない場合は早めに病院を受診するようにしましょう。