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妊婦にもときとして薬を。~つわり~

つわり妊娠悪阻は妊娠初期に悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状として出現します。


原因は解明されていませんが、急激なホルモンバランスの変化が原因だと言われることもあります。

また、ちょうど催奇形性など胎児への毒性が顕著に顕れる時期ですから、有害なものを排除しようとする生体防御反応であるとも言われています。


妊娠中期以降も続くことはほとんどありません。一時的なものとはいえ、つわりは妊婦にとって辛い症状ですから、必要な場合は薬を使用することもあります。


今回はつわりに使える薬についてまとめてみたいと思います。

妊娠悪阻に対する治療薬

つわりそのものを治す薬というものは残念ながらありません
対症療法が基本となります。



まずは心身の安静です。

食事は一度にたくさん食べずに少量を何回にも分けて摂りましょう。
水分摂取も重要です。



おさまらない場合は、制吐剤、いわゆる吐き気止めなどの内服薬を使用することが多いです。

●メトクロプラミド(プリンペラン®)

昔から使われる薬で胎児への悪影響はほとんどないと言われています。
妊婦に対する制吐剤としてよく使用されています。

ピリドキシン塩酸塩(ピドキサール®)

ビタミンB6製剤で、悪阻症状を緩和させると言われています。
市販のサプリメント等にもビタミンB6が含まれるものがあります。

●プロメタジン塩酸塩(ピレチア®)

抗ヒスタミン剤の一種で、アレルギー性鼻炎や乗り物酔いなどに使用される薬です。
つわりがひどい妊婦さんに使用されることがあります。
つわりへの保険適応はありません。

●小半夏加茯苓湯

つわりに適応をもつ漢方薬です。
つわり以外の嘔吐にも使用されます。

食欲がなく胃に水分がたまっている感じがするときなどに効果的と言われています。

他にも半夏厚朴湯など、つわりに効くと言われる漢方薬がありますが、基本的につわりに対して複数の漢方薬を併用することは少ないです。






内服薬でも改善しない場合は、点滴治療が開始されることがあります。

また、つわりを増悪させる因子や合併症の一つとして、うつ病などの精神疾患が潜んでいる場合があります。そのような場合には抗うつ作用や抗不安作用のある薬を使用することがあります。

さいごに

妊娠中の薬の服用について、妊婦本人や家族が否定的な場合があります。
しかし、妊婦が健康で元気に過ごすことが胎児の健康な成長に繋がるとも考えられます。


あまり無理をせず、薬に頼る場面があってもよいと私は思います。


もちろん、使用が推奨されない薬もありますから、薬の使用については必ず医師や薬剤師に相談しましょう。