頑張るパパママの薬のみかた

現役薬剤師は頑張るパパママのつよーい味方

大人も怖いボツリヌス食中毒

多くのウイルスや細菌に対して、エタノール(アルコール)は消毒効果が認められていますが、エタノールでは殺菌効果が期待できないものがあります

その代表例がボツリヌス菌です。

以前の記事で乳児に蜂蜜を食べさせてはいけないということを書きました。その原因菌として紹介した菌です。乳児にはもちろん、大人でもこのボツリヌス菌には注意が必要です。

今回は、このボツリヌス菌についてまとめてみたいと思います。

ボツリヌス菌はどんな菌?

学名:Clostridium botulinum
クロストリジウム属
グラム陽性嫌気性菌
芽胞形成菌

ボツリヌス菌芽胞(殻のようなかたいもの)を形成している場合は熱で死滅させることは容易ではありませんが、毒素自体は易熱性です。


ボツリヌス毒素
致死量:体重あたり0.01μg程度
    自然界に存在する毒素としては最も強力と言われている

ボツリヌス食中毒とは

ボツリヌス症とは、食品中で増えたボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素を摂取することにより発生する食中毒です。

潜伏期間

6時間~10日間程度

多くは原因の食品を摂取後18時間~48時間で症状が出現する

ボツリヌス食中毒の症状

初期症状として嘔気嘔吐、腹痛、下痢などとしてあらわれ、続いて便秘になる。

続いて、視力障害、構音障害、嚥下障害などが出現し、重篤な場合は呼吸筋の麻痺により最悪の場合は死に至る。

治療

ボツリヌス症が疑われた場合は乾燥ボツリヌスウマ抗毒素を投与
 
半減期の長い薬のため1回の投与で終了(繰り返し使用することは通常はない)

抗菌薬の投与は通常は行わない

(重複感染で抗菌薬が必要な場合もアミノグリコシド系抗菌薬は避ける)






乳児にはちみつを与えないということは乳児ボツリヌス症を予防する上で重要ですが、大人でもボツリヌス菌が産生する毒素により食中毒が起こるということを覚えておきましょう。



sakimitiharu.hatenablog.com