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人に感染させない潜在性結核感染症

潜在性結核という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
結核という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。

今回は潜在性結核感染症(LTBI)について紹介したいと思います。

潜在性結核感染症とは

結核という病気は発病すると人に感染させるリスクがある病気です。

一方、潜在性結核感染症(LTBI)はこの結核には感染しているものの発病しておらず、人に感染させることがない状態をいいます。

結核に特徴的な咳などの症状もありません。


潜在性結核の治療

潜在性結核感染症と診断された場合、発病を予防するために治療を開始することがあります。

潜在性結核感染症の治療対象者

発病リスクが高く、治療の有益性が副作用等のリスクを上回る人
 例えば、免疫抑制剤を服用中の臓器移植を受けた人など

潜在性結核感染症の治療薬の代表例

  ●イソニアジド(イスコチン®)を6ヶ月または9ヶ月内服
        成人 1日量 5mg/体重kg(1日最大300mg)

  ●リファンピシンを3ヶ月または4ヶ月
        成人 1日量 10mg/体重kg(1日最大600mg)

  
その他、イソニアジドとリファンピシンの併用を3ヶ月間といった治療も可能とされています。また、イソニアジドとリファペンチンを併用する治療にも期待が高まってきています。

さいごに

結核と聞くと怖いというイメージがある人もいるでしょう。

また、イソニアジドなどは結核の治療薬として有名な薬ですから、このような薬を飲んでいる人に出会ったときに、怖いと感じる方もいるようです。

しかし、抗結核薬は人に感染させることのない潜在性結核感染症に対しても用いられるのです。

大事なのは、同じ薬を飲んでいる人がみんな同じ病気だとは限らないということです。

今回は、この潜在性結核感染症の治療薬を例にあげましたが、同じようなことは他の薬でも起こりえます。


病気というのは人によっては知られたくないことであるのと同様に、薬も知られたくないという人がいます。たとえ、誰かが飲んでいる薬を目にしたとしても、安易に特定の病気に結びつけないように気をつけましょう。