頑張るパパママの薬のみかた

現役薬剤師は頑張るパパママのつよーい味方

日本脳炎ワクチンが足りません

日本脳炎ワクチンを製造している2社のうち、1社のワクチンの製造が一次停止した影響を受けて、2121年度の特に前半に、ワクチンの供給量が大幅に減少する見込みとなりました。

このため、4回接種のうち、1期の2回(1回目および2回目)の接種を優先するよう2021年1月15日付けで厚生労働省よりお達しが出ています。

そもそもこの日本脳炎とはどうような病気なのでしょうか。

日本脳炎は、秘本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症の一つです。重篤な急性脳炎を起こすことで知られています。ワクチンの接種により、ほぼ感染はなくなったと言われていますが、毎夏、日本脳炎ウイルスを持った蚊は発生しており、日本国内においても感染機会はゼロではないと言われています。

人から人への感染はなく、ブタなどの増幅動物の体内で増えたウイルスを蚊が吸血し、その上で人を刺した時に感染します。

●病原体:日本脳炎ウイルス
●感染経路:蚊などの節足動物媒介性
●潜伏期間:6~16日程度
●症状:急性脳炎
   高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、不随意運動、振戦、麻痺など
●治療:ウイルスに対する特効薬はない(対症療法が基本)

日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスが脳内に達し、脳細胞を破壊していると考えられています。そのため、将来、仮にウイルスに対する特効薬が開発されたとしても、一度破壊された脳細胞を元に戻すほどの薬の開発は難しいでしょう。

いま世間を賑わしているコロナウイルスと同様に、このウイルスにも感染しない、すなわち予防が大事だということです。

現在日本では日本脳炎の予防接種が公費で受けることができます。

●予防接種のスケジュール
推奨期間  1期・・・3歳~4歳の期間に2回(6~28日の間をあける)
           2回接種を終えた1年度に1回
2期・・・9歳~13歳の期間に1回

この計4回の接種が勧められています。

今回、日本脳炎ワクチンが不足するという事態を受けて、この4回の接種のうち、1回目、2回目のワクチンを打っていない人を優先して使用しましょうということになりました。

今回のトラブルは製造工程の問題ということですが、1日でも早く、ワクチンを必要としている人に供給されることを望みます。