頑張るパパママの薬のみかた

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もしも子どもが薬を誤飲してしまったら⁉正しい対処法を紹介

子どもが薬を誤飲してしまう事故は毎年発生しており、後を絶ちません。

 

厚生労働省から公表される「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」でも、小児の誤飲事故の原因は常にタバコ医薬品が上位を占めています。

 

では実際に子どもが薬を誤飲してしまった時、どのような対応をとればよいのでしょうか。

 

 

 

子どもが薬を誤飲! まずは冷静に!

 

まずは、冷静になりましょう!

そして、医師や薬剤師などの専門家の指示を仰ぎましょう!

 

 

もし、子どもが薬を誤飲してしまった場合は、まずは冷静になりましょう。親がパニックを起こしてしまうと、子どもにも伝染します。

 

まずは落ち着いて、対応することが重要です。

 

最初に、お子さんの口の中を確認します。口の中にまだ薬が残っている場合は、取り出してください。

 

このとき、大きな声で呼びかけてしまうと、子どもがびっくりして飲み込んでしまう場合があります。そっと声をかけて口の中を確認しましょう。

 

そして、医師や薬剤師に連絡し、指示を仰ぎましょう。

 

救急病院でもよいですし、かかりつけの小児科やかかりつけ薬局がある場合はまずはそちらに連絡しても構いません。

 

誤飲したお薬の種類や量によっては、命に関わる場合もあります。自己判断で対応したり、またネットや他のお母さんの情報を鵜呑みにすることで、適切な対応が遅れ、症状が悪化してしまう可能性もあります。

 

必ずすぐに専門家に連絡しましょう。

 

 

喉にまだ薬がひっかかって詰まっている場合、窒息の恐れもあるので吐き出させるよう指示される場合があります。

しかし、意識がない場合などは嘔吐物で逆に窒息してしまう場合もあります。また、薬の包装紙やPTPシート(錠剤タイプの薬が疱瘡されているプラスチック製のシート)ごと飲み込んでしまっている場合などはシートなどの角で食道が傷つくことがあり、必ずしも吐き出すことが良いとは限りません。

 

自己判断で無理に吐かせたり、逆に水などで流し込もうとしないで、まずは専門家の指示を聞きましょう。

 

 

相談窓口

・子ども医療電話相談

 連絡先 #8000

・救急安心センター

 連絡先 #7119

 

地域によって対応時間や実施状況は変わってきますので、事前に自分の住む地域の対応状況を確認しておきましょう。

局番なしで「#8000」や「#7119」をダイヤルすると、各都道府県の相談窓口に自動で転送されます。

 

相談時にあればよい情報 

相談する場合には以下の情報があるとよいです。というより聞かれます。

  •  誤飲した可能性があるお薬の名前
  •  いつ誤飲したか
  •  誤飲した量はどれくらいか
  •  現在のお子さんの状態

大切なのは「何を」「いつ」「どれくらい」飲んでしまったのかということです。

 

 

誤飲した可能性があるお薬の名前

まずは、薬のシート、家族の持っているお薬手帳医薬品情報書などから、何のお薬を誤飲した可能性があるのか確認しましょう。

 

また、薬だけでなく、包装紙やシートを同時に服用した可能性がないかも確認しておきましょう。

 

いつ誤飲したか

薬をいつ頃、誤飲した可能性があるのか確認しましょう。

 

多くの薬は、服用後に胃で崩壊し、胃や腸から吸収され、体内を巡って尿や便などとともに排泄されます。

ただし、薬によって、服用後から吸収までの時間、効果や副作用が出るまでの時間、排泄されるまでの時間には大きな差があります。

 

誤飲した時間がわかれば、今出ている症状が薬によるものなのか、今後どのような症状が出る可能性があるのか、そういった判断の材料になります。

 

誤飲した量はどれくらいか

誤飲してしまった薬の量がどれぐらいであったかという情報は非常に重要です。少ない量であれば健康被害がほとんどないような薬であったとしても、一度に多くの量を服用してしまうと、それだけ健康被害のリスクは高くなります。

 

どれくらいの量を飲んだ可能性があるのかは、できるだけしっかり確認し、正確に伝えるようにしましょう。

 

誤飲したお子さんの年齢や体重

薬を誤飲したお子さんの年齢等によって対応が変わる場合があります。現在の年齢(月齢)や体重を日頃から把握しておきましょう。

 

現在のお子さんの状態

誤飲してしまったお子さんの状態はよく観察しましょう。元気があるか意識ははっきりしているか、顔色はどうか、悪心・嘔吐はないか、痛みを訴えていないか、いつもと違う様子はないか、などです。

 

一刻も早く救急搬送が必要な状態なのか、救急車を呼ぶほどではないのか、あるいは自宅での経過観察でよいのか、といった判断に必要です。

 

ただし、自宅での経過観察を指示された場合でも、お子さんの様子に変化がないかの確認はしばらく必要です。どれくらいの期間、経過観察すればよいのか、指示を仰いでおきましょう。

 

 

いざ、病院へ行くとなった時にもっていくもの

・誤飲した薬の現物(空シートや空容器も含む)

 何を飲んだか特定できない場合は、手持ちの薬を全て持って行きましょう。

お薬手帳や薬情(医薬品情報書)など

 

 

 

誤飲を防ぐために 

小さなお子さんのいるご家庭では、薬の誤飲が起こらないように未然に防ぐことがなにより重要です。薬の保管方法については以下の記事を参考にしてください。

 

sakimitiharu.hatenablog.com

 

 

 

 

もし、子どもが薬を誤飲してしまった場合には、すぐに専門家に相談し、正しい処置を行うようにしましょう。

 

まずは冷静に!ということを忘れず、落ち着いて対応しましょう。

小さなお子さんのいるご家庭必見! 正しい薬の保管方法

子どもが誤飲しやすいものとして有名なものとして、タバコ医薬品があげられます。

厚生労働省から公表される「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」でも、小児の誤飲事故の原因は常にタバコや医薬品が上位を占めています。

 

 

医薬品の誤飲は、その保管方法に問題があったと言わざるを得ないものも実は多数報告されています。

 

また、子どもは大人の行動をよく見ています。こんなところは届かないだろうと思い置いた薬でも椅子などを使って子どもが手にし、そのまま誤飲してしまうという事例もあります。

 

子どもが誤って服用した結果、入院を余儀なくされる事例も数多く存在します。子どもの誤飲を防ぐために、薬の保管場所には注意が必要です。

 

 

 

【子どもがいる家庭における薬についての注意点】

・子どもの手の届く場所に薬を置かない

冷蔵庫の中なら大丈夫だろう、棚の上なら届かないだろう、引き出しの中なら開けられないだろう、そう考えることもあるでしょう。

 

しかし、事故事例の中には、そういった場所においていた薬の誤飲も少なくありません。

 

薬を服用する前や直後も放置せずにすぐにしまうようにしましょう。薬箱は開けたすぐに閉める習慣をつけ、またいつでもしっかりと閉めることが重要です。

 

また、薬の保管場所の近くに踏み台になるようなものは置かないようにすることも有効です。

 

・子どもの前で薬を服用するところを見せない

大人が飲んでいるものは真似をして飲みたくなるのが子ども心です。

大人が服用後に薬を置いた場所まで子どもは見ているものです。

 

・薬は幼児の開けられない容器に入れて保管する

たとえ、子どもが薬を例え見つけたとしても、容器が開けられなければ口に入れることはできません。

 

チャイルドレジスタンス容器に入れた状態で交付される、あるいは販売されている薬もあります。しかし、多くの場合は交付時にはそのような工夫はされていません。

 

家で保管する際には、子どもが容易には開けることができない容器に入れて保管することも誤飲予防には有効です。

専用のチャイルドレジスタンス容器でなくとも、カチっと閉まる密閉容器に入れておくだけでも予防効果は高いです。

 

簡単に開けられるポーチや巾着袋などには入れないようにしましょう。

 

・飲み薬だけでなく湿布剤、坐薬、液剤も要注意

子どもが誤飲する薬はなにも錠剤などの飲み薬に限ったことではありません。

 

坐薬や外用の液剤も簡単に誤飲してしまいます。まさかとは思うかもしれませんが、湿布剤などの貼付剤ですら誤飲する可能性があります。

 

・使用済の塗り薬やシロップ剤の空容器をおもちゃとして使わない

薬の容器というのは普段目にすることが少なく、また、子どもにとっては良い遊び道具になることがあります。

しかし、薬の空容器を一度おもちゃだと認識してしまった場合、実際にはお薬が入っている容器ですらおもちゃだと誤認してしまいます。

 

いつものようにただ遊んでいただけなのに、薬を舐めてしまった、飲み込んでしまったということにならないように、普段から薬の容器は遊び道具にはしないようにしましょう。

 

・薬は甘いものであってもジュースやお菓子ではないことを理解させる

薬は甘い味付けがされているものもあります。また、シロップ剤などはピンク色などジュースのような色がついているものもあります。そのため、子どもがジュースやお菓子と認識してしまう可能性があります。

 

「これは大切なお薬なの。」「お薬を勝手に使うと危険だよ。」このように、薬はお菓子ではないということを日頃から伝えるのもいいでしょう。

 

また、お菓子の箱に薬を保管することは避けましょう。 

 

 

食べられるものと食べられないもの、この判断がつかない小児の場合、大人ではまさかと思うものでも誤飲してしまいます。小さなお子さんがいるご家庭では、特に薬の管理には慎重になりましょう。

 

子どもの薬の誤飲を防ぐには、保管場所の工夫が第一です。

 

この記事を読んだ今がまさにチャンスです。

 

自宅の薬の保管についてしっかりと見直してみましょう。

 

 

sakimitiharu.hatenablog.com

 

 

 

服薬ゼリーと普通のゼリーの大きな違い

子どもに薬を飲ませようとするとき、一番困るのは、子どもがなかなか飲んでくれないということです。

 

小児用はシロップ薬も粉薬も甘味料が含まれており、大人用に比べると飲みやすいものが多いのですが、確かに子どもの粉薬の中にも苦みがあるものがあります。

 

子どもの味覚は敏感なのです。少しの苦みでも、一度味わってしまうとなかなか口にしてくれません。

 

特に小児科でよく処方されるマクロライド系の抗生物質などは苦みが強いことで有名です。

 

 

そこで大きな味方となるのが、服薬ゼリーです。

薬を服用するために開発されたゼリーです。

 

このゼリーに薬を含んで服用すると、薬が格段に飲みやすくなります。

 

 

 

大人でも症状があるときには薬を服用できますが、症状がなくなると途端に薬を飲まなくなる人がいますよね? 

子どもは薬を飲む意義を理解できていない場合も多く、なぜこんなにも我慢してまでにがーい薬を飲まなくてならないのかと服薬を拒否してしまいます。

 

その気持ちはわからなくもありませんよね。

 

子どもの服薬が、子どもにとっても介助する大人にとっても楽なものになるように、ちょっとした工夫でできるならいいですよね。

 

 

 

 

市販の服薬ゼリーは普通のいわゆるお菓子のゼリーとは異なります。

一番の大きな違いは様々な医薬品との配合変化の試験を実施していることです。

 

例えば、子ども用の服薬ゼリーで有名な「おくすり飲めたね」は製薬会社の一つである東和薬品と共同で子どもやお年寄りによく処方される薬を中心に、多くの薬との配合変化について調査されています。

 

 

 

苦い薬をアイスヨーグルトに混ぜて服用すると、苦みが薄くなることもありますが、実は乳製品は薬との相互作用が知られているものが数多くあります。

乳製品以外にも、薬に作用して薬の効果が十分に発揮されないこともあります。

 

こういった理由から、他の食べ物やお菓子のゼリーで代用せず、服薬ゼリーを使う方が良いと言えるでしょう。

 

 

ただし、驚きなのは、服薬ゼリーにも数種類の味があり、例えば「おくすり飲めたね」のぶどう味では苦みがカバーされないが、チョコ味なら大丈夫というお薬もあります。

個人的には苦みの強い薬はチョコ味がおすすめです。

 

子どもがどの味なら飲んでくれるか、一つの味で断念せず、いろんな味で試してみるのもありでしょう。

 

 

 

 

大人用の服薬ゼリーも市販されていますので、大人の方も服用が難しい場合や苦みが強い薬を飲まなければないない場合など、服薬ゼリーを試してみるのもありです。

 

ちなみに私自身も粉薬を服用する場合には、かなりの頻度で服薬ゼリーを使用しています。子どものためにと買っておいた服薬ゼリーが家で余っていたりするので。

子ども用の服薬ゼリーを大人が使用しても問題ありません。

 

 

服薬ゼリーを使って、大人も子どもも、飲む人も飲ませる人も、みんなが笑顔になれるといいですね!

 

インスリンはどこで保管したらいいの?

薬にはそれぞれに適した保管方法があります。

今回は、糖尿病の治療に用いられるインスリン製剤の保管方法について紹介します。

はじめに

インスリンにとって次の3つは大敵です。
・直射日光
・凍結
・高温

このことを、まずはじめに覚えておいてください。


開封インスリンは原則、冷蔵庫で保管

インスリンは熱に弱い薬です。
そのため、冷蔵庫(2℃~8℃)での保管が原則です。その際、凍結には注意してください。

吹き出し口の近くなど冷風が直接あたる場所で保管したり、冷蔵庫内を「強冷」にした場合など、凍結してしまう可能性があります。

また、チルド室も概ね0℃~2℃に保たれているため、インスリンの保管場所としては少し低温です。

冷蔵庫のドアポケットなどでの保管が適切でしょう。野菜室も3℃~8℃程度に保たれているものが多く、インスリンの保管場所に適しています。

一度でも凍ってしまったインスリンは効果の持続する時間が変わったりすることがあり、効果を担保できませんので、使用してはいけません。

また、凍結により注射器自体が壊れてしまうこともあります。




飛行機に持ち込む時は?


旅行や出張などで飛行機に乗る際には、インスリンを貨物室内に預けてしまうと凍結する可能性があります。
必ず手荷物として機内に持ち込みましょう

保安検査場でインスリン注射器を持ち込むことを申告しましょう。薬だとすぐにわかるように、注射薬のラベルやパッケージをはがしたりせずに、チャック付ビニール袋に入れておくとよいでしょう。
処方せんや診断書、お薬手帳などを一緒に持ち歩くことで、注射が治療に必要なものである証明になり、航空会社の対応も早くなることがあります。





開封済みのインスリンは原則、室温で保管

一方、開封済(使用開始後)インスリン製剤は室温(30℃以下)で保管することになっています。
日の光が当たらないよう、付属のキャップをつけて保管しましょう。



開封済のインスリン製剤は冷蔵庫からの出し入れを繰り返すと結露するリスクがあり、室温保管することになっています。

ただし、最近では製品の安定性試験の結果より、使用開始後も冷蔵庫で保管することができる製品も出てきています。


ちなみに開封後のインスリンの使用期限は特段定められてはいませんが、開始後1ヶ月を目安に新しいものへ交換しましょう。

外出時は30℃を超えないための工夫が必要!

外出の際には、インスリンが30℃を超えないように工夫して持ち出す必要があります。

工夫例

1,冷蔵後保冷剤をタオルなどで包みインスリンとともに保冷バッグに入れる

(冷凍庫で凍らせた保冷剤ではインスリンを凍結させるリスクがあります)

2、冷たいペットボトルなどで保冷剤を代用することもできます。

3、濡れたタオルでポリ袋に入れたインスリン製剤を包んで、気化熱を利用して保冷する。

ただし、このように工夫したからといって30℃以下に必ず保てるという保証はありません。

特に夏場の気温はインスリンにとっては注意すべき温度です。

インスリンはタンパク室の一種ですから、熱などの刺激により変性してしまいます。
生卵の白身を加熱した時を思い浮かべてみれば想像できるでしょう。
変性したタンパク質は元には戻りません。そのため、一度でも性質が変わってしまったインスリンは使用することができません。

直射日光にあてたり、車内に放置するなどはしないようにしましょう。

使用後の注射針や血糖測定用の針の管理

使用済みのインスリンのキット本体は、普通ゴミで捨てることができます。(ただし、自治体により多少異なります。)

しかし、投与のたびに毎回つけかえている針については普通ゴミに捨てることはできません。
空き瓶などに入れ、病院や薬局に持って行き、廃棄を依頼してください。

血糖測定用の針も同様です。

ただし、血糖測定センサーや消毒綿、包装紙などは一般ゴミで廃棄してください。



まとめ

インスリン製剤も複数の製薬会社から様々なものが出てきています。それぞれに少しずつ保管方法も異なりますが、原則は以下のとおりです。



インスリンは熱に弱い!

開封前は冷蔵庫のドアポケットや野菜室で保管(2℃~8℃)

開封後は室温保管(~30℃)

なぜ院外処方せんが主流なのか? 院外処方せんと院内処方せんの違いを紹介

病院などの医療機関から発行される処方せんには「院外処方せん」と「院内処方せん」の2種類が存在します。

「院内処方せん」は受診した医療機関でのみ通用する処方せんです。
多くの場合、患者さん自身がこの「院内処方せん」を受け取ることはありません。

医師の処方がそのまま薬剤師に届き、その処方せんをもとに薬剤師が調剤して患者さんに薬が交付されるというのが一般的な流れです。診療所等で薬剤師が在籍していない場合は、医師が自ら調剤する場合もあります。

しかし、現在は多くの大病院などではこの「院内処方せん」は発行されていません。代わりに「院外処方せん」が患者さんに交付され、患者さんはその「院外処方せん」を持って、病院の外の調剤薬局に提出するという流れが一般的です。

どうしてこの「院外処方せん」が主流になりつつあるのでしょう。


院外処方せんが主流になりつつある理由

医薬分業という言葉をご存知でしょうか。その名の通り、「」と「」を分けて業務を行うということです。
処方は医師が、調剤を薬剤師が担うことで、医薬品の使用を二重にチェックしようという取り組みです。


昔、ヨーロッパでフリードリヒ二世が毒殺を恐れ、医師が処方した薬を別の者にチェックさせていたというのが起源ともいわれています。


かつて日本では医師が診察し、自らの病院や診療所内で調剤し薬剤を交付するというのは一般的でした。今でもこのスタイルをとっている医療機関も存在します。
もちろん、地域特性などからなかなか医薬分業がすすまないところもあります。
しかし、この医薬が分かれていないスタイルは先進国では日本以外にはほとんどありません。

医薬分業が理想通りにすすめば、医師と薬剤師のダブルチェックによって医療には欠かせない薬の安全性を担保することができます。

日本でも今ではこの医薬分業を進めるための政策がとられ、その流れとして「院外処方せん」が主流となってきているのです。




では次に、「院外処方せん」のメリットとデメリットをまとめてみましょう。

院外処方せんのメリット

安心安全な医療の提供

  処方の内容を医師と薬剤師が各々の視点から二重にチェックをすることで医薬品の適正使用に繋がります。

  また、薬局では他の医療機関から処方されている薬との相互作用等のチェックも行いますので、重複投与を防ぐことができます。



院外処方せんのデメリット

・本人負担費が高くなる場合がある

・病院と調剤薬局のどちらでも待ち時間が発生することがある





院外処方せんを受け取ったら・・・

院外処方せんの注意点

・有効期限がある(基本的には交付日を含めて4日間)

   実は処方せんには有効期限が存在します。基本的に交付日を含めて4日間が有効期限です。
病院を受診して、処方せんをもらった時には有効期限内に調剤薬局に提出しましょう。

・どこの調剤薬局に行けばいいのか

保険薬局」「保険調剤」「保険調剤薬局」「処方せん受付」などの表記がされている薬局であれば、どこの薬局でも構いません

家に近いから、職場に近いから、気軽に行けるから、話しやすい薬剤師がいるから、薬局の雰囲気が好きだから、薬を配達してくれるから、営業時間が長いから、どんな理由でも構いませんので好きな薬局を決めましょう。

好きな薬局が決まれば、どこの医療機関でもらった処方せんであっても原則その薬局で調剤してもらうようにしましょう。

行く薬局が決まっていれば、医療機関で処方せんをもらった時に、予めその薬局にFAXで処方せんを送っておくことができる場合があります。
そうすることで、自分がその薬局に向かっている間に調剤が始まり、薬局での待ち時間を短縮できるメリットがあります。





薬をもらう患者さんにとっては、二度手間に思える「院外処方せん」ですが、医薬品を安全に使用するためには重要であることをぜひ知ってもらえればと思います。

不育症(反復流産・習慣流産)の治療

妊娠はするけれども、流産や死産、あるいは新生児死亡を繰り返し生児が得られないことを不育症といいます。

 

また、流産が2回連続する場合を反復流産、3回以上連続する場合を習慣流産といいます。この反復流産や習慣流産などいくつかの状態を含めて不育症といいます。

 

 

 

 

 

不育症の原因

 

偶然起こることもあり、原因が特定できない場合があります。

原因が特定できる場合、主なものとして以下のものがあります。

 

・胎児の染色体異常

  受精卵は一定の割合で染色体異常が持つ可能性があります。染色体異常の全てが流産、死産につながるわけではありませんが、流産の原因となる場合があります。

 

・凝固因子異常

抗リン脂質抗体症候群

・子宮形態異常

・内分泌異常

 

 

不育症の治療

まずは原因の特定を行います。特に習慣流産の場合は、検査を受けることが推奨されます。

 

検査は血液検査、超音波検査、子宮卵管造影検査、子宮鏡検査などです。

検査の結果、みつかった要因をもとに治療を行います。

 

ただし、検査を行っても原因が特定できないこともあります。それは流産の多くが胎児の染色体異常が原因であり、母体側の治療では回避できないからです。また、まだわかっていない原因があるのかもしれません。

 

 

抗リン脂質抗体症候群、凝固因子異常の場合

血栓療法をおこないます。

一例を紹介します。

 

  低用量アスピリンの内服

   例)1日80mg~100mgのアスピリンを毎日服用

 

海外では妊娠28週以降も使用されている場合もありますが、日本の添付文書(2021年6月現在)では妊娠28週以降以降の使用は認められていません。そのため、28週までの使用、もしくは患者さんへの説明同意に基づき分娩1週間前までの使用とするのが通常です。

 

不育症に対して、使用経験は多い薬であり、母児ともに比較的安全な薬と言われています。

しかし、過去にアスピリンによって喘息を起こしたことがある場合には重度の喘息発作が起こる場合があるため使用できません。

また、長期の使用による胃腸への負担もむげにはできません。胃薬などが合わせて処方される場合もあります。

さらに、低用量アスピリンは血液をさらさらにする作用を発揮するため、分娩直前まで使用した場合は分娩時の出血量の増加にも気をつけなければなりません。

 

  ヘパリンカルシウムの自己皮下注

   例)1日2回12時間毎に ヘパリンカルシウム皮下注5000単位

 

ヘパリンカルシウムはプレフィルドのシリンジ製剤が発売されており、注射器に既に1回分の薬液が入っています。そこに針をつけて、自分で注射することができる製剤です。

ただし、飲み薬と違って、注射を自分で打つという操作が必要になりますので、適切な手順でおこなうことができるよう、使用方法についてはしっかりと説明を聞くようにしましょう。

 

また、1回の投与量はシリンジ1本分になることが多いですが、血液検査の結果をみながら使用量が変更になる場合もあります。

 

繰り返し、皮下注を行うことで、注射部位のかゆみや硬結を生じることがあります。注射を打つ場所を少しずつ毎回変えるようにしましょう。

 

 

 

 

 抗リン脂質抗体症候群、凝固因子異常による不育症の治療では上記の2剤のいずれか、もしくは両方を使用します。特に抗リン脂質抗体症候群が流産の原因の場合、低用量アスピリンとヘパリンカルシウムの併用が有効であると言われています。

 

 

・子宮形態異常の場合

子宮形態異常の場合、薬での治療ではなく、主に手術による治療をおこないます。

 

・内分泌異常の場合

甲状腺疾患や糖尿病といった内分泌異常が原因の場合、甲状腺疾患や糖尿病に対する薬物治療をおこないます。

 

・精神的および身体的ストレス

精神的および身体的ストレスによって流産が繰り返される可能性があります。無理のない妊娠生活をこころがけるようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不育症の多くは原因が特定できず、薬物治療や手術療法といった明確な治療が存在しない場合が多々あります。

しかし、偶然の流産や原因不明の流産を繰り返す場合であっても、検査を受けてカウンセリングを受けることが可能です。

 

流産回数は多くても、最終的に子どもを持てる確率は普通の夫婦と変わらないという場合もあります。

自分自身の思い込みで妊娠を諦めずに専門の医療機関でよく相談するようにしましょう。

夫婦で十分な説明をうけることで、精神的なストレスが軽減されることもあります。

 

また、妊娠した際には、安定期までこまめに妊娠検診を受けるようにしましょう。

 

少しでも不安を取り除き、健康な妊娠生活を過ごすようにしましょう。

目薬の開封してからの使用期限は?

目薬は開封してからどのくらいの期間、使ってもいいものなのか。その答えは、どんなにキレイに使っていたとしても最長1ヶ月です。

今回はその理由について紹介したいと思います。

点眼薬は無菌製剤

 薬というのは全てが「無菌」でつくられているわけではありません。もちろん、口にするものもありますから、一定の清潔さは担保されているといって間違いないですが、普通の錠剤やカプセル剤などは「無菌」とはされていないのです。

みなさんが口にする食品なども「無菌」とは限りません。むしろ「無菌」状態を担保して製造されているものは少ないでしょう。

ちなみに「無菌」の定義は、定められた方法で対象微生物が検出されない状態をいい、「無菌製剤」とは、無菌であることを検証した製剤のことを指します。

 そんな中、必ず「無菌」で製造されなければならないと日本薬局法で定められている薬があります。その代表的なものとして注射薬点眼薬眼軟膏剤があげられます。






 今回のテーマである点眼薬はこの「無菌」を担保して製造された薬剤です。

無菌状態とは

 点眼薬の無菌状態は開封するまで、つまり開封の中身の状態をさします。

どんなに気をつけて使用したとしても、開封した瞬間から「無菌」を保つのは難しくなります。
添加物として防腐剤が配合されていたとしてもです。

そのため、点眼薬には開封後の使用期限が存在します。

点眼薬の使用期限

 未開封の点眼薬の使用期限は多くの場合、点眼薬の本体に記載されています。ただし、この使用期限はあくまで未開封の状態で保管されていた場合の期限です。
つまり、開封後の使用期限ではありません。


 成分によって安定性は様々ですし、開封後の点眼薬の保管方法によっても使い切るまでの目安は厳密には異なります。

例外はありますが、開封後は冷蔵庫保管が一般的です。


点眼薬の容器のさきが目やまぶた、まつげなどに触れてしまうと汚染のリスクが高くなります。
元々は透き通っていた薬液が濁っていると感じたり、蓋のまわりに白い粉が付いている時には使用をやめるようにしましょう。

点眼薬は適切に保管されていたと仮定しても、開封後約1ヶ月が使用期限です。それ以降の使用はやめましょう。



 ただし薬によっては成分の安定性の問題で、使用期限が1週間のものなどもあります。その場合は薬を受け取る際に説明されたり、使用期限についての説明書が添付されているはずですから、必ず確認しましょう。



容器を工夫した点眼薬も発売されています


 最近では、防腐剤を添加せずに清潔な状態を担保するために工夫された容器で発売されている点眼薬もあります。
二重構造でフィルターが内蔵されていたりすることで、微生物の侵入を防いでいます。使用方法は従来の点眼薬と変わらないよう工夫されていますが、1滴が出るのに少し時間がかかるものもあります。

 また、一回使い切りタイプの点眼薬もあります。片眼または両眼に1回で使い切り、そのまま捨てるタイプの点眼薬です。そのため、汚染の心配がありません。ただし、少々値段は高くつきますし、かさばるといった欠点もあります。








まとめ

・どんなにキレイに使っても 使用期限は開封後 1ヶ月!

・ただし、点眼薬によっては使用期限がもっと短いものもある!

・きれいに使うために容器のさきが目やまぶた、まつげなどが付かないようにする!