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なぜ院外処方せんが主流なのか? 院外処方せんと院内処方せんの違いを紹介

病院などの医療機関から発行される処方せんには「院外処方せん」と「院内処方せん」の2種類が存在します。

「院内処方せん」は受診した医療機関でのみ通用する処方せんです。
多くの場合、患者さん自身がこの「院内処方せん」を受け取ることはありません。

医師の処方がそのまま薬剤師に届き、その処方せんをもとに薬剤師が調剤して患者さんに薬が交付されるというのが一般的な流れです。診療所等で薬剤師が在籍していない場合は、医師が自ら調剤する場合もあります。

しかし、現在は多くの大病院などではこの「院内処方せん」は発行されていません。代わりに「院外処方せん」が患者さんに交付され、患者さんはその「院外処方せん」を持って、病院の外の調剤薬局に提出するという流れが一般的です。

どうしてこの「院外処方せん」が主流になりつつあるのでしょう。


院外処方せんが主流になりつつある理由

医薬分業という言葉をご存知でしょうか。その名の通り、「」と「」を分けて業務を行うということです。
処方は医師が、調剤を薬剤師が担うことで、医薬品の使用を二重にチェックしようという取り組みです。


昔、ヨーロッパでフリードリヒ二世が毒殺を恐れ、医師が処方した薬を別の者にチェックさせていたというのが起源ともいわれています。


かつて日本では医師が診察し、自らの病院や診療所内で調剤し薬剤を交付するというのは一般的でした。今でもこのスタイルをとっている医療機関も存在します。
もちろん、地域特性などからなかなか医薬分業がすすまないところもあります。
しかし、この医薬が分かれていないスタイルは先進国では日本以外にはほとんどありません。

医薬分業が理想通りにすすめば、医師と薬剤師のダブルチェックによって医療には欠かせない薬の安全性を担保することができます。

日本でも今ではこの医薬分業を進めるための政策がとられ、その流れとして「院外処方せん」が主流となってきているのです。




では次に、「院外処方せん」のメリットとデメリットをまとめてみましょう。

院外処方せんのメリット

安心安全な医療の提供

  処方の内容を医師と薬剤師が各々の視点から二重にチェックをすることで医薬品の適正使用に繋がります。

  また、薬局では他の医療機関から処方されている薬との相互作用等のチェックも行いますので、重複投与を防ぐことができます。



院外処方せんのデメリット

・本人負担費が高くなる場合がある

・病院と調剤薬局のどちらでも待ち時間が発生することがある





院外処方せんを受け取ったら・・・

院外処方せんの注意点

・有効期限がある(基本的には交付日を含めて4日間)

   実は処方せんには有効期限が存在します。基本的に交付日を含めて4日間が有効期限です。
病院を受診して、処方せんをもらった時には有効期限内に調剤薬局に提出しましょう。

・どこの調剤薬局に行けばいいのか

保険薬局」「保険調剤」「保険調剤薬局」「処方せん受付」などの表記がされている薬局であれば、どこの薬局でも構いません

家に近いから、職場に近いから、気軽に行けるから、話しやすい薬剤師がいるから、薬局の雰囲気が好きだから、薬を配達してくれるから、営業時間が長いから、どんな理由でも構いませんので好きな薬局を決めましょう。

好きな薬局が決まれば、どこの医療機関でもらった処方せんであっても原則その薬局で調剤してもらうようにしましょう。

行く薬局が決まっていれば、医療機関で処方せんをもらった時に、予めその薬局にFAXで処方せんを送っておくことができる場合があります。
そうすることで、自分がその薬局に向かっている間に調剤が始まり、薬局での待ち時間を短縮できるメリットがあります。





薬をもらう患者さんにとっては、二度手間に思える「院外処方せん」ですが、医薬品を安全に使用するためには重要であることをぜひ知ってもらえればと思います。