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インスリンはどこで保管したらいいの?

薬にはそれぞれに適した保管方法があります。

今回は、糖尿病の治療に用いられるインスリン製剤の保管方法について紹介します。

はじめに

インスリンにとって次の3つは大敵です。
・直射日光
・凍結
・高温

このことを、まずはじめに覚えておいてください。


開封インスリンは原則、冷蔵庫で保管

インスリンは熱に弱い薬です。
そのため、冷蔵庫(2℃~8℃)での保管が原則です。その際、凍結には注意してください。

吹き出し口の近くなど冷風が直接あたる場所で保管したり、冷蔵庫内を「強冷」にした場合など、凍結してしまう可能性があります。

また、チルド室も概ね0℃~2℃に保たれているため、インスリンの保管場所としては少し低温です。

冷蔵庫のドアポケットなどでの保管が適切でしょう。野菜室も3℃~8℃程度に保たれているものが多く、インスリンの保管場所に適しています。

一度でも凍ってしまったインスリンは効果の持続する時間が変わったりすることがあり、効果を担保できませんので、使用してはいけません。

また、凍結により注射器自体が壊れてしまうこともあります。




飛行機に持ち込む時は?


旅行や出張などで飛行機に乗る際には、インスリンを貨物室内に預けてしまうと凍結する可能性があります。
必ず手荷物として機内に持ち込みましょう

保安検査場でインスリン注射器を持ち込むことを申告しましょう。薬だとすぐにわかるように、注射薬のラベルやパッケージをはがしたりせずに、チャック付ビニール袋に入れておくとよいでしょう。
処方せんや診断書、お薬手帳などを一緒に持ち歩くことで、注射が治療に必要なものである証明になり、航空会社の対応も早くなることがあります。





開封済みのインスリンは原則、室温で保管

一方、開封済(使用開始後)インスリン製剤は室温(30℃以下)で保管することになっています。
日の光が当たらないよう、付属のキャップをつけて保管しましょう。



開封済のインスリン製剤は冷蔵庫からの出し入れを繰り返すと結露するリスクがあり、室温保管することになっています。

ただし、最近では製品の安定性試験の結果より、使用開始後も冷蔵庫で保管することができる製品も出てきています。


ちなみに開封後のインスリンの使用期限は特段定められてはいませんが、開始後1ヶ月を目安に新しいものへ交換しましょう。

外出時は30℃を超えないための工夫が必要!

外出の際には、インスリンが30℃を超えないように工夫して持ち出す必要があります。

工夫例

1,冷蔵後保冷剤をタオルなどで包みインスリンとともに保冷バッグに入れる

(冷凍庫で凍らせた保冷剤ではインスリンを凍結させるリスクがあります)

2、冷たいペットボトルなどで保冷剤を代用することもできます。

3、濡れたタオルでポリ袋に入れたインスリン製剤を包んで、気化熱を利用して保冷する。

ただし、このように工夫したからといって30℃以下に必ず保てるという保証はありません。

特に夏場の気温はインスリンにとっては注意すべき温度です。

インスリンはタンパク室の一種ですから、熱などの刺激により変性してしまいます。
生卵の白身を加熱した時を思い浮かべてみれば想像できるでしょう。
変性したタンパク質は元には戻りません。そのため、一度でも性質が変わってしまったインスリンは使用することができません。

直射日光にあてたり、車内に放置するなどはしないようにしましょう。

使用後の注射針や血糖測定用の針の管理

使用済みのインスリンのキット本体は、普通ゴミで捨てることができます。(ただし、自治体により多少異なります。)

しかし、投与のたびに毎回つけかえている針については普通ゴミに捨てることはできません。
空き瓶などに入れ、病院や薬局に持って行き、廃棄を依頼してください。

血糖測定用の針も同様です。

ただし、血糖測定センサーや消毒綿、包装紙などは一般ゴミで廃棄してください。



まとめ

インスリン製剤も複数の製薬会社から様々なものが出てきています。それぞれに少しずつ保管方法も異なりますが、原則は以下のとおりです。



インスリンは熱に弱い!

開封前は冷蔵庫のドアポケットや野菜室で保管(2℃~8℃)

開封後は室温保管(~30℃)