頑張るパパママの薬のみかた

現役薬剤師は頑張るパパママのつよーい味方

柿のへたって薬なの??

くだものの柿、この柿のへたは実は薬として使われることがあります。

柿のへたを煎じた「柿のへた煎」なるものが病院などで作られることがあります。

 

効果はずばり「しゃっくり」です。しゃっくりを止めるには驚かせてもらえばよいだの、息を止めてみてはどうかなど、様々な方法が試みられていますが、このしゃっくりが病態的に止まらない人などに病院では処方されるようです。

 

作り方は簡単で、柿のへたに水を加えて煎じ、煎じた液を服用するというものです。一種の漢方薬のようなものと考えると想像しやすいかもしれません。

病院薬局製剤事例集などにも取り上げられています。

また最近ではAmazon楽天などでも「柿のへた(柿蔕(シテイ))」など生の柿のへたをそのまま乾燥させたものや、お湯や水などを入れるだけで柿蔕湯になる顆粒タイプのものまで発売されています。

 

栄養剤 薬と食品で効果は違うのか!?

 栄養剤と一言に言っても、薬品に分類されるものと食品に分類されるものがあります。

 薬はよく効く一方で食品はあまり効果がないのではと聞かれることがありますが、一概にそうとは言い切れません。

 違いについてまとめてみましょう。

 

購入方法

 食品:個人で購入可能

 薬 :医師による処方が必要

 

種類

 食品:豊富

 薬 :限定的

 

 食品:豊富

 薬 :限定的

 

形態

 食品:濃厚流動食タイプ、ゼリータイプなど

 薬 :濃厚流動食タイプ、胃瘻専用の半固形タイプ、注射剤など

 

費用

 食品:全額自己負担

 薬 :健康保険が使える(ただし診察代、処方箋発行料などは別途かかる)

 

効果

効果についてもまとめてみたいところですが、それぞれ種類が多岐にわたるため、一概に比較することは困難です。しかし、一つ言えることは少ない量で多くのカロリーを得る、つまり効率的に栄養を摂取するには食品の方が選択肢は多いのが現状です。

成分についても種類により様々です。しかし、医薬品も食品も徐々に工夫がされてきており、成分はどちらもバランスよく配分されていると考えてよいと思います。

 

■まとめ

注射剤を必要とする状態にない限り、食品の栄養剤の方が選択肢は多い。

価格は保険請求ができない分、食品の栄養剤の方が高くつく可能性が高い。

 

スタチン系薬剤の特徴

スタチン系薬剤の作用機序
スタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)は肝臓におけるコレステロール合成を阻害し、血中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を低下させ、動脈硬化を予防するお薬です。

肝臓でコレステロール合成を減らす
  ↓
肝臓が血中のコレステロールを取り込む
  ↓
血中のコレステロールが低下する


スタチンはLDL-コレステロールが高い脂質異常症に対しては第一選択です。LDL-コレステロールは血中でプラークの原因となる物質で、スタチン系は脳梗塞心筋梗塞の予防としての効果も認められています。
家族性(遺伝性)高コレステロール血症や、急性冠症候群、糖尿病を合併する場合はよりリスクが高いと位置づけられ、スタチン系を積極的に使用します。
ただし、妊婦には安全性が認められておらず、服用禁忌です。
また、コレステロールを下げすぎると癌が増加するという話や脳出血が増えるという話もありますが、いずれも現在のところはエビデンスに乏しい状況です。コレステロール値を下げすぎた結果として癌が増えたのではなく、癌などの消耗性疾患によってコレステロールが低下すると今のところは考えられています。また、通常の治療程度では脳出血の心配はないとも考えられています。このあたりは、さらなる臨床データの蓄積が必要です。

スタチン系薬剤の一般的な副作用
■横紋筋融解症(特に腎機能低下時)
■肝機能障害

 

スタチン系の各薬剤の特徴

■プラバスタチン

  スタンダードスタチン

  水溶性

  腎排泄/胆汁排泄

  相互作用が少ない

  分2処方が可能


■フルバスタチン

  スタンダードスタチン

  脂溶性

  CYP2C9

  用法は夕食後のみ


■シンバスタチン

  スタンダードスタチン

  脂溶性

  CYP3A4

  グレープフルーツジュース注意

  イトラコナゾールとの併用注意


■アトルバスタチン

  ストロングスタチン

  脂溶性

  CYP3A4

  グレープフルーツジュース注意


■ロスバスタチン

  ストロングスタチン

  水溶性

  胆汁排泄

  CYP2C9(わずか) CYP2C19(わずか)


■ピタバスタチン

  ストロングスタチン

  脂溶性

  胆汁排泄

  CYP2C9(わずか)


ストロングスタチンとスタンダードスタチンの違い
 LDL-コレステロール低下力(効果の強さ)の差
 もちろん個人差はありますが、一般的にスタンダードスタチンの低下力が約15%、ストロングスタチンの低下力は約30%と言われています。 

漢方薬にも副作用

 漢方薬には副作用がないと思われがちですが、そうではありません。

 漢方薬の代表的な副作用の一つに偽アルドステロン症というものがあります。

 病院で処方される漢方薬にも、市販されている漢方薬にも、甘草という成分が含まれているものが多く存在します。この甘草が偽アルドステロン症の原因になると言われています。

 偽アルドステロン症について以下にまとめてみることにします。



偽アルドステロン症

アルドステロンが増加していないにも関わらず、アルドステロン症の症状を示す病態

※アルドステロン:副腎から分泌され、血圧を上昇させるホルモン

症状

血圧上昇、低カリウム血症

血圧上昇 → 頭痛、頭重感
カリウム血症 → 四肢の脱力、不整脈
(手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばり、力がぬける感じ、こむら返り、筋肉痛、動悸、気分不良、嘔気嘔吐など)
進行すると歩行困難、起立不能、糖尿病の悪化(低カリウムによるインスリン分泌不全)、致死性不整脈、横紋筋融解症、意識消失など



原因薬剤

甘草やその有効成分であるグリチルリチンを含む薬剤

漢方薬、かぜ薬、胃腸薬、肝臓の病気の医薬品)

フッ素含有ステロイド外用剤の長期連用

症状の出現時期

個人差が大きい

服用を開始して数週間~数年後

※ただし、3ヶ月以内に発症したものが約40%

リスク因子

男性:女性 = 1:2

全体の80%が50~80歳

低身長、低体重など体表面積が小さいもの

高齢者

カリウム血症を起こしやすい薬剤の併用(ループ利尿剤など)

早期発見のポイント

初期症状についてしっかりと指導すること

血清カリウム値の定期的なモニタリング

治療

原因薬剤の中止

以前は甘草やグリチルリチンを多く含有する薬剤での報告が多くを占めたが、近年、比較的少量投与例での発症例も報告されています。

どんな薬にも副作用のリスクがあります。漢方薬も安全だと思い込まないようにしましょう。早期に発見し早期に対応するために、甘草を含む漢方薬を服用中の方は、手足のだるさやしびれ、つっぱり感、こわばりなどの症状がみられ、これらに加えて力が抜けるような感じ、こむら返り、筋肉痛が現れ、だんだんきつくなるような場合は医師や薬剤師に相談してください。

参考)
重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症

脂質異常症に用いる薬

 脂質異常症というとまだまだ馴染みが薄いかもしれません。実は2007年7月に「高脂血症」から「脂質異常症」に改名されましたが、2020年の現在でも高脂血症という言い方をすることもあります。

 脂質異常症は血液の中の脂質の値が異常を示す病態のことをいいます。特にLDL(悪玉)コレステロール中性脂肪が高い、もしくはHDL(善玉)コレステロールが低い病態が問題となります。このような状態が続くと、動脈硬化、さらに心筋梗塞脳梗塞へと進む危険性が高くなります。高脂血症の治療の基本は食事療法や運動療法などの生活習慣の改善ですが、それでも十分な効果が得られない場合に薬を使用することになります。また、遺伝性のある家族性高コレステロール血症の場合など、病態によっては初めから薬を使用することもあります。以下に、よく使用される薬についてまとめてみます。

● HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)(リピトール®等)

現在最も広く使用されている薬です。肝臓でのコレステロール合成を阻害する薬で、強力なLDL(悪玉)コレステロール低下作用があります。横紋筋融解症という副作用があるので、もし服用中に筋肉痛や脱力感、尿の着色などがあればすぐに主治医に伝えてください。

● フィブラート系薬剤(ベザトールSR®等)

トリグリセライド(中性脂肪)の合成を抑制することで、中性脂肪を低下させます。中性脂肪を低下させる効果は一番強いといわれています。しかし、上記のスタチン系薬剤と同時に使用することで副作用の横紋筋融解症が出現する危険が高くなるといわれています。

ニコチン酸製剤(コレキサミン®等)

主に中性脂肪を下げる薬です。便秘やほてりなどの副作用があります。

● 陰イオン交換樹脂(コレバイン®等)

LDLコレステロールを低下させますが、中性脂肪が上昇することがあり中性脂肪の高い方には注意が必要です。

● エイコサペンタ塩酸(エパデール®)

中性脂肪を低下させる効果のほかに、血小板の働きを抑える作用(血をさらさらにする作用)も持ち合わせており、脳梗塞心筋梗塞の発症を減らすことが期待されている薬です。ただし、大きな手術をする前には服用を中止する場合があるため、他の病院にかかる場合には服用していることを必ず伝えるようにしましょう。

●エゼチミブ(ゼチーア®)

小腸でのコレステロール吸収を阻害する薬で、単独でも使用されますが、上記のHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用でより強力なコレステロール低下作用を発揮します。最近ではエゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬の配合剤が相次いで発売されています。

 以上のような薬をコレステロールの値などの血液検査の結果や、副作用などを確認しながら、その人に合わせて調節しています。

薬を飲み始めるとそれに頼ってしまう人がいますが、それではいけません。高脂血症の治療の基本は食事療法や運動療法なので、それを続けていく必要があります。食事療法や運動療法をしっかり続けていけば、薬を少しずつ減らしていくこともできるかもしれません。しかし、「コレステロール中性脂肪の値が安定してきたから」といって自己判断で薬をやめることはできません。薬を急に中断することで、すぐに数値が上がってきてしまう場合があるからです。医師の指示の通りに、しっかり薬を飲んでいくことが大切です。

ヒブワクチン供給再開か

 シリンジに錆を認めた件についての調査のため、一時供給が停止されていたヒブワクチンの供給が再開されることとなった。製薬会社による調査の結果、シリンジ容器の製造等に問題は認められず、問題の事例は複数の要因が重なることにより偶発的に発生したものだということだ。なお、稀ではあるものの、現時点において、この偶発的な発生を完全に無くすことはできないことから、当分の間は目視による注意確認が必要である。

認事項
1、使用前に、添付溶剤が変色しておらず、異物が認められないこと。
2、シリンジ容器のキャップを取り外した後、針等に茶~赤褐色の付着物、 変色等の異常がないこと。特に、針先端部及び針と注射筒(シリンジ) の結合部分をよく確認すること。
3、添付溶剤で乾燥製剤を溶解後、異物その他の異常が認められないこと。


偶発的ということで、ヒブワクチンの商品の針に錆が発生した原因ははっきりとは特定されなかった。しかし、製薬会社や厚生労働省のホームページを確認すると、錆による重篤健康被害が生じる可能性は低いとのこと。ひとまず、ワクチン接種を待っていた小児へのワクチン接種が開始されることは評価に値する。ヒブ感染症に罹患するリスクを考慮すると、スケジュール通りのワクチン接種が望ましいだろう。
今後も、さらに原因究明に向けて調査を続けてもらいたいものである。

 

ヒブワクチンについてはこちら↓↓

 

sakimitiharu.hatenablog.com