脂質異常症に用いる薬

 脂質異常症というとまだまだ馴染みが薄いかもしれません。実は2007年7月に「高脂血症」から「脂質異常症」に改名されましたが、2020年の現在でも高脂血症という言い方をすることもあります。

 脂質異常症は血液の中の脂質の値が異常を示す病態のことをいいます。特にLDL(悪玉)コレステロール中性脂肪が高い、もしくはHDL(善玉)コレステロールが低い病態が問題となります。このような状態が続くと、動脈硬化、さらに心筋梗塞脳梗塞へと進む危険性が高くなります。高脂血症の治療の基本は食事療法や運動療法などの生活習慣の改善ですが、それでも十分な効果が得られない場合に薬を使用することになります。また、遺伝性のある家族性高コレステロール血症の場合など、病態によっては初めから薬を使用することもあります。以下に、よく使用される薬についてまとめてみます。

● HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)(リピトール®等)

現在最も広く使用されている薬です。肝臓でのコレステロール合成を阻害する薬で、強力なLDL(悪玉)コレステロール低下作用があります。横紋筋融解症という副作用があるので、もし服用中に筋肉痛や脱力感、尿の着色などがあればすぐに主治医に伝えてください。

● フィブラート系薬剤(ベザトールSR®等)

トリグリセライド(中性脂肪)の合成を抑制することで、中性脂肪を低下させます。中性脂肪を低下させる効果は一番強いといわれています。しかし、上記のスタチン系薬剤と同時に使用することで副作用の横紋筋融解症が出現する危険が高くなるといわれています。

ニコチン酸製剤(コレキサミン®等)

主に中性脂肪を下げる薬です。便秘やほてりなどの副作用があります。

● 陰イオン交換樹脂(コレバイン®等)

LDLコレステロールを低下させますが、中性脂肪が上昇することがあり中性脂肪の高い方には注意が必要です。

● エイコサペンタ塩酸(エパデール®)

中性脂肪を低下させる効果のほかに、血小板の働きを抑える作用(血をさらさらにする作用)も持ち合わせており、脳梗塞心筋梗塞の発症を減らすことが期待されている薬です。ただし、大きな手術をする前には服用を中止する場合があるため、他の病院にかかる場合には服用していることを必ず伝えるようにしましょう。

●エゼチミブ(ゼチーア®)

小腸でのコレステロール吸収を阻害する薬で、単独でも使用されますが、上記のHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用でより強力なコレステロール低下作用を発揮します。最近ではエゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬の配合剤が相次いで発売されています。

 以上のような薬をコレステロールの値などの血液検査の結果や、副作用などを確認しながら、その人に合わせて調節しています。

薬を飲み始めるとそれに頼ってしまう人がいますが、それではいけません。高脂血症の治療の基本は食事療法や運動療法なので、それを続けていく必要があります。食事療法や運動療法をしっかり続けていけば、薬を少しずつ減らしていくこともできるかもしれません。しかし、「コレステロール中性脂肪の値が安定してきたから」といって自己判断で薬をやめることはできません。薬を急に中断することで、すぐに数値が上がってきてしまう場合があるからです。医師の指示の通りに、しっかり薬を飲んでいくことが大切です。