漢方薬にも副作用
漢方薬には副作用がないと思われがちですが、そうではありません。
漢方薬の代表的な副作用の一つに偽アルドステロン症というものがあります。
病院で処方される漢方薬にも、市販されている漢方薬にも、甘草という成分が含まれているものが多く存在します。この甘草が偽アルドステロン症の原因になると言われています。
偽アルドステロン症について以下にまとめてみることにします。
偽アルドステロン症
アルドステロンが増加していないにも関わらず、アルドステロン症の症状を示す病態
※アルドステロン:副腎から分泌され、血圧を上昇させるホルモン
症状
血圧上昇、低カリウム血症
血圧上昇 → 頭痛、頭重感
低カリウム血症 → 四肢の脱力、不整脈
(手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばり、力がぬける感じ、こむら返り、筋肉痛、動悸、気分不良、嘔気嘔吐など)
進行すると歩行困難、起立不能、糖尿病の悪化(低カリウムによるインスリン分泌不全)、致死性不整脈、横紋筋融解症、意識消失など
原因薬剤
甘草やその有効成分であるグリチルリチンを含む薬剤
(漢方薬、かぜ薬、胃腸薬、肝臓の病気の医薬品)
フッ素含有ステロイド外用剤の長期連用
症状の出現時期
個人差が大きい
服用を開始して数週間~数年後
※ただし、3ヶ月以内に発症したものが約40%
リスク因子
男性:女性 = 1:2
全体の80%が50~80歳
低身長、低体重など体表面積が小さいもの
高齢者
低カリウム血症を起こしやすい薬剤の併用(ループ利尿剤など)
早期発見のポイント
初期症状についてしっかりと指導すること
血清カリウム値の定期的なモニタリング
治療
原因薬剤の中止
以前は甘草やグリチルリチンを多く含有する薬剤での報告が多くを占めたが、近年、比較的少量投与例での発症例も報告されています。
どんな薬にも副作用のリスクがあります。漢方薬も安全だと思い込まないようにしましょう。早期に発見し早期に対応するために、甘草を含む漢方薬を服用中の方は、手足のだるさやしびれ、つっぱり感、こわばりなどの症状がみられ、これらに加えて力が抜けるような感じ、こむら返り、筋肉痛が現れ、だんだんきつくなるような場合は医師や薬剤師に相談してください。
参考)
重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症