生まれてはじめて飲ませるお薬
生まれたばかりの新生児はビタミンKが欠乏状態になりやすいと言われています。
このビタミンKを補うために飲ませる薬が、初めてお父さんお母さんが自分の子どもに飲ませてあげる薬になることがあります。子どもに薬を飲ませるって結構大変なんです。
今回はこの新生児で欠乏しやすいと言われるビタミンKについてまとめてみたいと思います。
ビタミンKはなぜ不足するのか
ビタミンKは胎盤移行性が悪く、出生時に体内に備蓄される量が少ないことが多いのです。
加えて、母乳中に含まれるビタミンKも少なく、また、腸管吸収が悪いこと、新生児ではビタミンKを産生する腸内細菌が育っていないことなどが大きな理由です。
ビタミンKが不足するとどうなるか
ビタミンKは肝臓での血液凝固因子の合成に関与し、止血作用を発現します。
そのため、ビタミンKが欠乏すると出血をきたしたりや出血しやすい状態に陥りやすくなります。
ビタミンK欠乏性出血症(Vitamin K deficiency bleeding : VKDB)とも言われます。
不足しがちなビタミンKを補うために
VKDBを予防する目的で日本では合併症などを持たない新生児に対してケイツー®シロップと呼ばれるビタミンK製剤を服用させます。
[ケイツー®シロップ]
(参考:ケイツーシロップの添付文書)
一般名:メナテトレノン
効能・効果:新生児出血症及び新生児低プロトロンビン血症の治療
新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防
用法用量:ビタミンK欠乏性出血症の予防に対して
通常、出生後、哺乳が確立したことを確かめてから、1回1mL(メナテトレノンとして2mg)を経口投与する。その後、2回目として生後1週間または産科退院時のいずれか早い時期、3回目として生後1ヶ月時にそれぞれ1回1mLを経口投与する。
代表的なスケジュール
1回目 ⇒ 出生後哺乳を確認した後
2回目 ⇒ 退院時もしくは生後1週間
3回目 ⇒ 1ヶ月検診時
この方法でもVKDBの報告があることから次のような投与方法もあります。
●出生後3ヶ月まで週に1回 ケイツーシロップを1回1mLずつ投与
服用方法
・基本的には1回1包(1mL)を白湯で約10倍に薄めて飲ませます。
・スティック包装の薬ですが、直接投与せず、哺乳瓶やスプーンなどに移して投与してください。誤嚥の可能性や唇が傷つく可能性があります。
・スポイドを使用して服用させる時は、頬裏と歯茎の間に薬を流し込むと吐き出しにくくなります。
副作用:めだつ副作用はほとんど報告されていません