Clostridioides(Clostridium) difficile感染症(CDI)の治療 ~現役薬剤師のひとりごと~
Clostridioides (Clostridium) difficile とは・・・
(クロストリディオイデス(クロストリジウム) ディフィシル)
・芽胞を形成する偏性嫌気性グラム陽性桿菌
・腸内の常在菌のひとつ
・多くの抗菌薬に耐性
・トキシン産生株と非産生株がある
Clostridioides difficile感染症(CDI)とは
抗菌薬の使用で腸内細菌叢が壊されて、優位となったC. difficileが産生するトキシンによって引き起こされる感染症
CDIの症状
下痢、発熱、腹痛が主な症状です。
また、麻痺性イレウス、偽膜性腸炎、さらには腸管穿孔を引き起こすことがあります。
さらには血管の中に菌が入り込み敗血症などを引き起こす可能性もあり、死に至るケースもあります。
CDIの治療
① 原因となった抗菌薬の中止
② 薬物治療
キードラッグ
・メトロニダゾール(フラジール®、アネメトロ®)
・バンコマイシン
・フィダキソマイシン(ダフクリア®)
・ベズロトクスマブ(ジーンプラバ®)(再発抑制目的)
処方例:
・メトロニダゾール内服 1回500mg(250mg2錠) 1日3回 (1,500mg/日) 10日間
・バンコマイシン散内服 1回125mg 1日4回 (500mg/日) 10日間
・バンコマイシン散内服 1回500mg 1日4回 +
メトロニダゾール点滴(アネメトロ®) 500mg 8時間おきを併用
・フィダキソマイシン内服 1回200mg 1日2回 (400mg/日) 10日間
このCDIという感染症は場合によっては死に至るリスクが大いにあります。CDIは多くの場合は医療機関に入院している期間に起こることが多いものです。しかし、入院中以外で起きないというものではありません。この感染症の主な原因の一つに抗菌薬の不適正使用があげられます。抗菌薬の適正使用がいかに重要であるかは、昔から多くの医療者や研究者によって唱えられていますが、今でも抗菌薬の処方が全て適正であるとは言い切れません。もちろん、抗菌薬の不適正使用は医療者側の要因もあります。しかし、患者側にもあることを忘れないようにしましょう。薬はないのですか、なんでもいいから薬がほしいです、といったことを医師に訴えたりしていませんか?もう元気になったからといって出された薬を飲みきらずに残したことはありませんか?そういった積み重ねが重大な病気を引き起こす可能性があることをぜひ覚えておいてほしいです。
最後に、もちろんCDIの原因の全てが抗菌薬の不適正使用というわけではありません。