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乳児に蜂蜜。ダメ!ぜったい!

乳児に蜂蜜を食べさせてはいけない、ということを聞いたことがある人は多いかもしれません。今回はどうしてダメなのかをまとめていきたいと思います。

 

発症する病気

乳児ボツリヌス症

 

病原菌

蜂蜜に含まれるボツリヌス菌

(加熱したとしても芽胞は死なないため、感染リスクは残ります)

ただし、蜂蜜以外にもボツリヌス菌が含まれている可能性は大いにあります。

 

乳児が感染する理由

蜂蜜に含まれるボツリヌス菌は極微量で大人にとっては脅威的なものではありません。しかし、生まれたばかりの乳児にとっては脅威となるのです。通常、乳児は腸内細菌の種類が少なく、細菌叢も発達していません。そのため、腸に届いたボツリヌス菌を排泄することができず発症にいたると言われています。

 

潜伏期間

3日から30

 

症状

便秘(3日以上続く便秘が初期症状となることが多い)

哺乳力低下

脱力感

無表情

眼瞼下垂

呼吸障害

 

 

治療

対症療法

 

大人のボツリヌス症の場合、乾燥ボツリヌスウマ抗毒素を使用しますがが小児には推奨されていません。

海外ではヒトボツリヌス免疫グロブリンが有効だったとの報告があります。ヒト型の免疫グロブリンの開発がすすめば、日本でも小児に薬が使えるようになるかもしれません。

ボツリヌス菌に対しては抗菌薬は使用しません。菌自体は抗菌薬で殺せたとしても菌が壊れる際に毒素をまき散らしてしまう恐れがあるからです。

 

つまり、現時点で日本で乳児ボツリヌス症に対しての治療は対症療法に限ります。

 

いつから蜂蜜を食べさせてよいのか

乳児ボツリヌス菌の発症は生後12か月までと言われており、1歳になるまでは蜂蜜を食べさせてはいけないと啓発されています。

 

 

 

以上、乳児ボツリヌス症についてまとめてみました。

自分では体の不調を言葉で伝えることができない乳児の体調変化をよく観察し、異常がある場合にすぐに受診できる体制を日ごろから整えておくことが大切ではないでしょうか。

また、治療薬の開発に期待したいと思います。